【海外研究】フレーミングによる献血支援促進
概要
米国のノースウェスタン大学の学部生を対象に、献血を促進するための様々なメッセージをメールで送付する介入を行った。
介入群の学生には、①「献血によって命を救う」(利得)or 「死を防げる」(損失)を提示する × ②「緊急性が高い」 or 「そうでもない」を提示する2×2=4通りのメッセージを送付した。対照群には、献血の時間と場所のみ記載したメールを送った。
実際の献血率で介入の評価を行った結果、損失フレームを受け取った人は、対照群と利得フレーム群に比べて、献血率が有意に高くなった(損失:1.31% vs 対照:0.8% vs 利得0.78%)。緊急性が高いかそうでもないかのメッセージは、結果に影響を与えないことが分かった。
出所:Chou EY, Murnighan JK (2013) p.3 Fig.1に加筆
対象者
主に自治体の医療・健康を担当している部署の方
ひと言メモ!
献血促進の文脈でフレーミングを用いたナッジを適用した事例です。「献血によって防げる損失」に注目させる方が、「献血によるメリット」を注目させる場合に比べて、献血率を増加させることが分かりました。
ただし、このような「損失」に注目させるナッジは、人々に過度な心理的な負担を与える可能性もあるので注意が必要だとも言われています(大阪大学・野元)。
参考
Chou EY, Murnighan JK (2013) Life or Death Decisions: Framing the Call for Help. PLoS ONE 8(3): e57351.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0057351