【海外研究】社会規範を用いた寄付促進ナッジ
概要
社会規範の情報を用いて寄付を促進するナッジです。実験の被験者に「ドイツの人口のうち、何%が寄付をしていると思いますか?」と尋ねて、寄付をしている人の割合を推測してもらい、その後、「毎年、ドイツ国内の2/3の割合の人が寄付をしています。」という社会規範を伝えました。
その結果、何の情報も伝えなかったグループに比べて、寄付の意思を30%ポイント高めました。寄付の割合を推測してもらわずに、社会規範の情報だけを伝えたグループでは16%ポイントの上昇にとどまり、周囲の状況を推測してもらうことでより効果が大きくなることが分かりました。
対象者
主に自治体の中で、税金関係や環境保全などを担当している部署の方。
「自分ぐらいやらなくてもいいだろう。」「他の人もどうせやってないだろう。」と考えるような場面で有効だと思います。例えば、ごみのポイ捨てや分別など。
ひと言メモ!
社会規範のメッセージをそのまま伝えるだけではなく、一度「推測」してもらうステップを作ることで効果が大きくなる点が参考になります。納税など、ほとんどの人が行っていることを推測してもらっても、推測した割合と実際の割合に差が無くて効果は薄いかもしれません。しかし、推測した割合と実際の割合に差がありそうであれば、推測が効果を発揮するチャンスです!(大阪大学・北野)
出所:Bartke et al. 2016 p.74 Fig.1に加筆
参考文献
Bartke, Simon & Friedl, Andreas & Gelhaar, Felix & Reh, Laura. (2016). Social comparison nudges—Guessing the norm increases charitable giving. Economics Letters. 152. 10.1016/j.econlet.2016.12.023.