地方自治体の予算編成プロセスでのナッジ介入効果
概要
地方自治体の予算編成プロセスにおいて、ナッジを含むメッセージが予算編成担当者の査定に影響することを実験的に明らかになった。単年度予算を採用する地方自治体においては、単年度で成果が見込まれる事業が優先され、成果が出るまで時間がかかる事業が後回しにされる傾向がある。成果指標やエビデンスなどの要求側から示される情報にナッジを踏まえたメッセージを追加することが、未来志向の予算編成を促進するのに有効である可能性が示唆された。
【研究成果のポイント】
- 地方自治体の予算編成担当者は長期的に有益な社会的成果をもたらすプロジェクトであっても、当年度の財政への影響を重視するあまり予算化を見送る傾向がある。
- 損失フレーム・ナッジは、過小評価されがちな事業の将来の成果を効果的に強調できることが分かった。
- 社会比較・ナッジも同様に未来志向の予算編成を促進できる可能性が示唆された。
- ナッジに基づくメッセージが、個々の市民だけでなく、組織行動の変容の促進にも有効である可能性を提示している。
対象者
自治体職員の方、必見!
ひと言メモ!
予算要求という、どんな自治体職員でも必ず一度は経験するであろう仕事に関する研究です。一方で、こうした知見を単純に予算要求のテクニックとして使うのではなく、「将来の社会をより良くする政策は何だろうか⁉」と問い直した上で、本当に必要だと考えた政策予算を、より伝わりやすく説明していこう、という姿勢が大切だと思いました。(PolicyGarage・伊豆)
資料
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Public Budgeting and Finance誌掲載論文
出所:Wiley Online Library