新型コロナ・ワクチンの行動経済学研究
概要
2021年度 東北学院大学経済学部経済学科 佐々木周作ゼミナールが、行動経済学の観点から新型コロナ・ワクチンに関する情報を研究したレポートです。
第一部「東北六県の自治体ホームページにおける新型コロナ・ワクチンに関する情報提供の実態把握と評価:行動経済学とナッジの視点から」
行動科学の知見に基づき考案された既存のフレームワークを参考にしながら、二つのチェックリスト「EASTY(イースティ)」「19歳の考える19の項目」を作成し、東北六県(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)に227ある自治体のホームページにおける新型コロナ・ワクチンに関する情報の質を評価したものです。チェックリストには若年層の特徴に配慮する項目(Young)が設けられました。採点の結果、青森県十和田市が「EASTY」で最高点を獲得し、岩手県宮古市が「19歳の考える19の項目」で最高点を獲得しました。採点結果は227の自治体の間で大きくばらついており、新型コロナ・ワクチンに関して提供される情報の内容や質が自治体間で大きく異なる可能性が示されました。
第二部「新型コロナ・ワクチンに関するニュースの正誤判断と情報共有判断:東北学院大学生を対象にしたアンケート調査の分析結果」
東北学院大学経済学部生を対象にアンケート調査を実施して、真のニュースと偽のニュースの両方を含む、新型コロナ・ワクチン関連ニュースの「正誤判断」と「情報共有判断」について分析したものです。検証の結果、大部分の回答者が誤情報を誤情報として正確に判断できていること、誤情報であると正確に判断できている人の中には、その誤情報を周囲と共有しようと思う人が一定割合存在することが分かりました。また、事前にニュースの正確さを意識させる介入を行うことで、誤情報の共有を抑制できることが分かりました。しかし、この介入は正しい情報の共有をも抑制してしまうという新しい課題も発見されました。
対象者
主に自治体の医療・健康担当部署の方
ひと言メモ!
「19歳の市民」である学生が、行動科学の視点で自治体のホームページを評価した貴重な報告書です。若年層への情報の届け方を考える上でも参考になります。(YBiT・高木)
新型コロナ・ワクチンに限らず、本研究で用いられている2つのチェックリストは、ホームページを活用して情報発信する上でとても参考になります。(PolicyGarage・伊豆)
資料
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