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特定保健指導案内封筒の開封率向上

特定保健指導案内封筒の開封率向上

概要

特定保健指導の利用率を改善するため、行動プロセスマップを活用して分析した結果、案内封筒の開封率が2割程度で低いことが明らかになった。そこで、ナッジの知見を活用し、案内封筒の改善を行った結果、前年度と比較し約56ポイント開封率が向上した。

背景

横浜市国民健康保険における特定保健指導の利用率は低く、その向上が喫緊の課題であった。低迷している原因を多角的に検討し、実現可能性やコスト等も加味し、比較的低予算で実施できる、行動変容に関する施策③に着手することに決定し、ナッジの視点で解決を試みた。

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(出所:横浜市)

Behavior / Analysis:課題の特定とターゲット行動の設定

(1)最終目標

  • 特定保健指導未利用者が保健指導を利用すること
  • 特定保健指導の利用率を2019年度末までに、7.7%から12.5%に上昇させること(データヘルス計画より)

(2)行動プロセスマップの作成

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(3)阻害要因、促進要因の特定

  • 対象者へのヒアリングから案内封筒を開けて中身を見た人が約2割程度しかいないことが推定された。
  • 次に開封しない理由について所内で検討した。その結果、「案内が目につきにくい」(情報・選択過剰負荷)、「後でゆっくり見ようと思った(現在バイアス)」などの要因が挙げられた。

(4)ターゲット行動

  • 案内封筒の開封率を向上させること

Strategy:介入設計

特定保健指導の案内通知の開封を促進するため、上記での分析結果を踏まえ、EASTを活用して係内でブレインストーミングを行い、周囲の対象者と同じ年代層の職員に改編後の封筒に関する感触も確認しながら、最終調整を行った。

<介入内容検討の実際>

・1時間程度の限られた時間で介入内容の検討を行った。介入案については、ホワイトボードが一杯になるくらい書き出し、そのうえで、それぞれのメッセージについて印象や目的とする行動にどれだけ結びつくかの観点で意見交換を行い、メインメッセージを絞った。また、大前提として、メッセージの内容はシンプルにすることを心がけた。

<主な変更点>

  1. Easy:文字数を削り、レイアウトも工夫してシンプルに。
  2. Attractive:「今回を逃すと得をする機会を失ってしまう」という損失メッセージを打ち出し、さらに、特定保健指導を普通に受けるといくら(数万円)かかるかという実際のコストを数字で明示し、受けることのお得感を訴えた。
  3. Social:自分だけでなく、全国で約10万人受けているという社会規範を提示することで、本人の利用に向けた行動変容を促した。
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(出所:横浜市)

Intervention:介入実施と効果検証

(1)アウトカム設定

  • 特定保健指導案内封筒開封率を、2019年度末までに、約2割から約6割に上昇させる

(2)実施方法

  • 評価デザイン:前年度比較
  • 検証方法:改訂版封筒送付後の1か月間において、担当者から対象者へ開封の有無について聞き取りを行い、昨年度の同状況と比べ、封筒の開封率を比較
  • アウトカム指標:開封の有無
  • 対象:9月の利用券発行者で50歳~65歳の者
  • 期間:2019年9月の1か月間
  • 倫理的配慮:匿名化処理して集計、ナッジの介入内容については所属課長決裁

(3)結果

  • 前年度に比べて、約56ポイント開封率が向上した
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(4)考察

  • 前年度開封率は、主観的であり曖昧であること、また、勧奨時期の違いもあるが、約56ポイントと明らかに開封率が向上したため、ナッジを活用した封筒デザインの変更が、開封率向上に寄与した可能性が示唆された。
  • RCT等による効果検証は、事務的な観点から実施できなかったが、事業の性質や費用対効果の観点から、今後実施できることが望まれる。

Change:今後の展開

  • 改編した封筒の内容について、電話勧奨時に対象者へ聞き取りを行い、次年度の封筒に反映させる。
  • 案内開封後のプロセスにおいてボトルネックがないか検証し、PDCAサイクルを回しながら改善を繰り返す。併せて、最終アウトカムである特定保健指導の利用率の変化も検証する。

全体を通して工夫した点、課題だと感じた点

(1)工夫

  • 厳密な検証にこだわらず、契約内容やスケジュールに配慮し、可能な範囲で、実施及び検証してみることに重きを置いた。

(2)課題

  • ナッジのエッセンスを入れることはできたが、デザインに関しては経験値からの実践であったため、理論に基づいたデザインの実践を入れられると良かった。

参考文献

  • The Behavioural Insights Team,2012.EAST Four simple ways to apply behavioural insights

https://www.bi.team/publications/east-four-simple-ways-to-apply-behavioural-insights/

問い合わせ先

横浜市行動デザインチーム(YBiT)の連絡フォームからご連絡ください。

横浜市行動デザインチーム

市民や社会にとって真に効果的な行政サービスの提供をミッションにしています。 そのミッションを実現するために、YBiTは、世界中で急速に普及しているナッジを初めとした「行動デザイン」や「データ・エビデンスに基づく科学的な行政手法」を、日本の地方自治体に先駆けて取り入れてきました。 ...

ybit.jp

横浜市行動デザインチーム

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